平成23年6月15日(6月18日改)
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
世界版SPEEDI(Worldwide version of SPEEDI)を用いて、日本全域での被ばく線量を暫定的に試算しました。この計算は、あくまでも計算シミュレーションであり、放出量情報も暫定的な数値に準拠しているため、実際の線量を保証するものではありませんが、現在わかる範囲で、相対的な線量分布を概観する上での参考情報として技術解説を行うものです。
1.計算条件 計算範囲 :日本全域、分解能 10 km 計算期間 :平成23年3月12日〜5月12日 気象データ :気象庁数値予報データGPV(Grid Point Value) 地形データ :分解能10 kmの標高及び土地利用データ 放射性物質の種類 : I-131、I-132、Cs-134、Cs-137 放射性物質の放出率 :基本的に原子力安全委員会に5月12日に報告した暫定推定値に準拠。但し、4月15日以降は公表値が無いため、一定の放出率を仮定。なお、報告した放出率推定の詳細は、下記ジャーナルで近日公表される。 M. Chino et al., “Preliminary Estimation of Release Amount of 131I and 137Cs Accidentally Discharged from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant into the Atmosphere,” J. Nuc. Sci. Technol., 48[7], 1129-1134 (2011).
2.本試算を正確に理解するための重要事項(必ず、お読みください)
3.事故発生から2ヶ月間の外部被ばく実効線量の試算結果 添付図1に、事故発生から2ヶ月間の外部被ばく実効線量の試算結果を示す。この結果から概観できることは以下のとおりである。
4.事故発生から2ヶ月間のI-131の吸入による実効線量の試算結果 添付図2に、事故発生から2ヶ月間のI-131の吸入による実効線量の試算結果を示す。この結果から概観できることは以下のとおりである。
5.今後について これまで述べたように、ここに示した結果は、限られた情報に基づく試算の段階である。今後も、計算精度を高めて、論文として取りまとめていく。
以上
図1:事故発生から2ヶ月間の外部被ばく実効線量の試算結果
線量分布の時間変化(動画):AVI形式(約119MB)、WMV形式(約6MB)
動画の見方:動画は、線量分布の時間的広がりをカラーの面塗りで、放射性物質の動きを地上濃度(Bq/m3)の等値線(赤線)で示している。日時は国際標準時(日本時間は9時間加算)で上部に表示されている。4月以降は、外部被ばく線量で沈着核種からの微増が継続している。
図2:事故発生から2ヶ月間のI-131の吸入による実効線量の試算結果
線量分布の時間変化(動画):AVI形式(約123MB)、WMV形式(約6MB)
動画の見方:動画は、線量分布の時間的広がりをカラーの面塗りで、放射性物質の動きを地上濃度(Bq/m3)の等値線(赤線)で示している。日時は国際標準時(日本時間は9時間加算)で上部に表示されている。