燃料挙動解析コードFEMAXI-8/RANNS

燃料挙動解析コードの開発研究

燃料安全研究グループでは、反応度事故が起こったときの燃料のふるまいを予測・評価するため、反応度事故時燃料挙動解析コードRANNSを開発しています。

RANNSコードの解析対象は、燃料ペレットと被覆管から成る燃料セグメント部、燃料棒上下端のプレナム部で構成される1本の燃料棒です(図9)。これをリング要素の集合としてモデル化し、熱的解析と力学解析を連成して行うことにより、燃料棒の温度、内圧、変形(応力歪み)を評価します。

図9:燃料棒の内部で生じる現象とFEMAXI/RANNSコードでのモデル化
図9:燃料棒の内部で生じる現象とFEMAXI/RANNSコードでのモデル化

RANNSコードを用いた解析により、 NSRR実験時のペレット内の熱応力の変化と熱膨張、それによって生じたPCMIにおける被覆管の応力歪みと温度変化、それらを含めた燃料破損条件などを明らかにしてきました。

燃焼が進んだ燃料の事故時のふるまいを精度良く評価する上では、原子炉内での中性子照射によってその燃料の状態がどのような変化を辿り、その結果事故直前にはどんな状態であったかを把握することも必要になります。

これがRANNSコードの予測を決定づける重要な初期条件となります。そこで、通常運転時の燃料ふるまいを予測・評価するためのコードFEMAXI-8も併せて開発しています。FEMAXI-8については、原子力機構のコンピュータプログラムなどの検索システム「PRODAS」を通して無償公開しており、機構外でも燃料ふるまいの研究や新しい燃料の設計・開発に利用されています。

また現在は、FEMAXI/RANNSコードによって事故耐性燃料のふるまいも解析できるようにすること、特に、冷却材喪失事故時、シビアアクシデント時におけるふるまいが注視されていることから、これらの事故進展を適切に追跡できることを優先目標と位置づけ、様々な改良、モデル開発を重ねています(図10、図11)。

図10 RANNSコードの被覆管高温酸化モデルが想定するCrコーティング層保護効果喪失の素過程
図10 RANNSコードの被覆管高温酸化モデルが想定するCrコーティング層保護効果喪失の素過程
図11 水蒸気高温酸化時(1200℃)のCrコーティング下層におけるZrO2層(酸化膜層)成長の様子
図11 水蒸気高温酸化時(1200℃)のCrコーティング下層におけるZrO<sub>2</sub>層(酸化膜層)成長の様子