令和4年11月22日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

ポーランド高温ガス炉研究炉への協力
―ポーランドの高温ガス炉研究炉の基本設計に関する研究開発協力を開始―

【発表のポイント】

  • ポーランド国立原子力研究センター(NCBJ)と原子力機構(JAEA)が連携して、ポーランド高温ガス炉研究炉の基本設計に関する研究開発を行います。
  • JAEAはNCBJへ協力して、我が国の高温ガス炉技術のさらなる高度化と国際標準化を図り、国際競争力の強化を目指します。

ポーランド政府は、脱炭素化に向けた石炭火力の代替として、高温ガス炉を化学産業用の熱源として利用することを想定し、2020年代後半に高温ガス炉研究炉(熱出力30MW)及び2030年代に商用高温ガス炉(熱出力165MW)の導入を計画しています。2021年5月、ポーランド政府は高温ガス炉の研究開発を次の段階に進めることとし、ポーランド国立原子力研究センター(以下「NCBJ※1」という。)が高温ガス炉研究炉の基本設計を開始することになりました。これを踏まえ、NCBJは高温ガス炉技術分野において研究開発協力関係にある国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「JAEA」という。)に協力を要請し、両機関間における既存の研究開発協力取決め(高温ガス炉技術分野における研究開発協力のための実施取決め:2019年9月締結)の協力分野に研究炉の基本設計を追加するなどの事項を加えた改定取決め※2の署名を当機構の小口理事長及び来日されたクレックNCBJ所長との間で本日付けで行いました。

JAEAは、2017年5月18日に日本とポーランドの外相会談において署名された「2017年から2020年までの日本国政府とポーランド共和国政府との間の戦略的パートナーシップの実施のための行動計画※3」に基づき、同日付けで、NCBJとの間で高温ガス炉技術に関する協力のための覚書を取り交わして、これまで高温ガス炉の設計研究の協力や人材育成を実施してきました。今後もJAEAはNCBJへ協力し、ポーランド高温ガス炉研究炉の基本設計を通して、高温工学試験研究炉(HTTR)の建設及び運転を通じて培った我が国の高温ガス炉技術のさらなる高度化、国際標準化を図ります。本年9月2日に開始した英国との協力に加えて、ポーランドへ協力することにより、次世代原子炉として注目される高温ガス炉技術の国際競争力の強化を目指します。

用語解説

※1:ポーランド国立原子力研究センター(Narodowe Centrum Badań Jądrowych(英語表記:National Centre for Nuclear Research):NCBJ)は、ポーランド共和国における国立の研究機関として、加速器科学、放射線医学、材料研究、プラズマ物理学、核物理学、素粒子物理学、ニュートリノ物理学、宇宙放射線物理学等の研究を実施しています。1974年12月に臨界を達成した熱出力30MWの研究炉MARIAを運用し、燃料、材料の照射試験、放射性同位元素製造やシリコン半導体の製造、中性子ラジオグラフィ等の多種多様な照射試験を実施しています。

※2:改定取決めでは、以下の研究開発協力を実施する予定です。
▷ 高温ガス炉研究炉の基本設計を通じた高温ガス炉安全設計の高度化
▷ 高温ガス炉研究炉の基本設計を通じた高温ガス炉燃料の高度化に関するシミュレーション
▷ 高温ガス炉研究炉の基本設計を通じた高温ガス炉炉心の高度化に関するシミュレーション

※3:2021年5月6日に日本とポーランドの外相会談において署名された「2021年から2025年までの日本国政府とポーランド共和国政府との間の戦略的パートナーシップの実施のための行動計画」に高温ガス炉技術に係る研究開発協力に関する事項は引き継がれています。

資料:ポーランドにおける高温ガス炉開発、世界の高温ガス炉開発状況[PDF:415KB]
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